大学院留学記 in New York

コロンビア大学の修士課程でメンタルヘルス・カウンセリングを学んでいます。

他力本願でスタートしたエッセイ作成(2015年11月回想録)

 履歴書とエッセイの書き方が全く分からなかったので、アゴス・ジャパンの10回コンサルティングパッケージに申し込みました。費用は約30万円かかりましたが、時間も知識もないので仕方ない、と腹をくくりました。今思い返せば安易な考えでしたが、申し込んだ時点で、プロに任せればあとは大丈夫、と安心しきっていました。

 

 コンサルティングは1回50分、私はニューヨークにいるためSkypeで受講しました。第一回目は日本人男性講師とのセッションで、第二回目以降の英語ネイティブ講師とのセッションに向けどのような事前準備をすべきか、といったことを話しました。セッション後、参考書を読みながら見よう見まねで履歴書を作ったほか、エッセイに盛り込めそうなエピソードを思いつくままに箇条書きにして次回に備えました。どちらも英語で作成し、文法も我ながらめちゃくちゃでしたが、プロが直してくれるだろうと気にせずに書きました。

 

 そして迎えた第二回目のコンサルティング。日本・ニューヨーク間の時差があるため、私は出勤前の午前5時に起床して臨みました。本音をいえば、米国大学院卒の先生がよかったのですが、ギリギリに申し込んだので希望の講師は空いておらず、イギリスの名門大学修士課程卒の女性が担当してくださることになりました。先生は、私の箇条書きをみるなり、何も言わずに先頭からどんどん文法を直して、箇条文に接続語を補い、繋げていきます。私は焦りました。私は彼女に、文法のミスを直してもらうのはもちろんですが、なによりもまず、効果的なエッセイにするための文章構成を教えて欲しかったのです。私はただちに先生に、「この箇条書きは単にエッセイに盛り込み得る内容を羅列しただけで、そのまま繋げてほしいわけではない」、「エッセイをパワフルにするための書き方・構成を知りたい」と伝えました。しかし先生はただ “I know. I am working on it.”と言うだけで手を止めません。その後も何度も希望を伝えようとしますが、私は拙い英語のためなのか、全く効果がありませんでした。そうこうする間に50分が経ってしまい、私は茫然としたままこのセッションを終えました。もっと綿密に準備してから臨めばよかったと後悔し、プロにおんぶに抱っこという考えは甘かったと気が付きました。この状況でちゃんと合格するエッセイが仕上がるのか、という不安で胸がいっぱいになりました。

 

 本当は家でエッセイについて悶々と悩みたい気分でしたが、とにかく仕事に行かなければなりません。なんとしてでも受かってやる!という当初の勇ましい気持ちがくすんとしぼんでいきました。まるで、負け戦と知りながら孤軍奮闘する落ちぶれた武士のような気分です。自分の人生にとってこんなに大切なことなのに、他力本願で進めようとした自分を不甲斐なく思いました。

 

 結局コンサルティングは残りの回も全て同じ先生で受け、納得がいかないながらもエッセイが何とか出来上がりました。どうもこの先生との相性が悪い気がしてならず、他の先生にみてもらいたかったのですが、申し込んだ時期が遅すぎたためそれは叶いませんでした。他の先生方のプロフィールを見ながら指をくわえているしかありません。自分でも参考書を読んでなんとか形勢を立て直そうとするけれど、どうもうまくいきません。泣きたいほど悔しくて、本当は全て投げ出してこの年の出願を諦めてしまいたかったほどだったけれど、あの当時の私は夢に向かって全力で進み始めたはずの自分が減速していくことを、かっこわるい、みっともない、と思っていて、認めることができませんでした。夫にも本音を話すことができませんでした。とてもとても辛くて、仕事も、TOEFLの勉強も、エッセイの準備も、全てが億劫になっていきました。