大学院留学記 in New York

コロンビア大学の修士課程でメンタルヘルス・カウンセリングを学んでいます。

大学院選び(2016年5月回想録)

 退職をして時間がたっぷりできると、心が晴れやかになり、やる気もみなぎり始めました。さあ何から始めよう!ニューヨークの爽やかな5月、毎日が新鮮です。

 

 まずはTOEFLのテストを予約。次回のテストは7月の下旬です。そして次に取り掛かったのは出願する大学院選び。昨年はニューヨーク大学(NYU)とコロンビア大学の2校のみでしたが、今回は合格確率を高めるためにもより多くの大学院に出願したいと考えていました。マンハッタン内を歩いていると私立・公立の大学にちょくちょく出くわすので、たくさん学校がありそうだということは分かっているのですが、網羅的・体系的に把握するにはどうしたらいいか……と悩んでいるときに見つけたのがこの本、 “Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical and Counseling Psychology” (Guilford社)。

Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical and Counseling Psychology 2016 / 2017 (Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical Psychology)

Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical and Counseling Psychology 2016 / 2017 (Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical Psychology)

 

 この本は、カウンセリング・サイコロジー(Counseling Psychology)またはクリニカル・サイコロジー(Clinical Psychology)の分野に進もうとする人たちにとって必読書といってもいいかもしれません。学校選び、将来のキャリア、エッセイの書き方、教授への面談の申し込み方、面接対策といった出願に伴う各プロセスが、同分野に限定して説明されているのでとても参考になります。またカウンセラーを志す人が疑問に思う諸々のポイントが明快に説明されているのも嬉しい点です。たとえば、修士(M.A.)と博士(Ph.D.)でカウンセラーとしての働き方にどのような違いが出てくるか、カウンセリング・サイコロジーとクリニカル・サイコロジー、クリニカル・ソーシャルワーク(Clinical Social Work)にどのような違いがあるのか、といったことが紹介されています。同著は博士過程進学者向けに書かれているため、私のようにカウンセリング・サイコロジー修士を目指す人にとっては不必要な情報もありますが、私は今回の受験では始めから終わりまで常にこの本を手元に置いて参照していました。

 

 学校選びの際に非常に役立ったのは、同著の巻末についている “Reports on Counseling Psychology Programs”という大学院一覧表です。ここでは全米のカウンセリング・サイコロジー・博士課程プログラムが掲載されており、教授の人数と研究分野、在学生のGPA中央値などが紹介されています。同著はあくまで博士課程進学者向きに書かれているため、博士課程を持たない大学は表に載っていない点には注意が必要です。そこで私はこの表に加えてインターネットでも検索してニューヨーク州内にある大学院をピックアップし、自宅から90分以内で通勤できる、かつGREが必要ない、という条件で7校に絞りました。

 

 本来、大学院選びは自分の興味関心ある分野を研究している教授が何人いるか、といったところを基準にするものなのでしょうが、私の場合は今住んでいる自宅から通える場所という制約があったため、その点を追求することはできませんでした。ただ、カウンセリング・サイコロジー修士過程カリキュラムは、APA (American Psychology Association) という団体が提示する基準に基づいて構成されているため、どの大学院のものでもそれほど大きな差はありません。必修科目はほぼどの大学院も同じで、差が出るとしたら選択科目の種類くらいです。また、各大学院はそれぞれ強みや特色がありますが、それでも私と興味を同じくする教授が皆無ということはいずれの大学院でもなかったので、あまり問題とはしませんでした。GREを必要としないということを基準にするのは何とも軟弱に響きますが、GREを必要としたのは私が検討していた大学院のうち2校に過ぎなかったので、すっぱり諦めることにしました。

 

 7校という数が多いのか少ないのか分かりませんが、今年こそは何としてでも進学したかったので、安全のためもう少し多く出願したいと思っていました。そこで、ソーシャルワーク修士課程プログラムにも2校出願することに決めました。カウンセラーの資格を取るまでに要する期間が最短で、かつ最も私の関心に近い、という理由で、私の第一志望はカウンセリング・サイコロジーでしたが、専攻がソーシャルワークの場合でもカウンセラーの資格を得ることができます。またソーシャルワークの方がプログラムの定員数が大きいため、合格可能性が高いということも魅力です。こうして私は、以下全9校に出願することを決めました。

 

<カウンセリング・サイコロジー

 

ソーシャルワーク

 

 各大学のホームページにいってメーリングリストに登録し、出願に関する情報を受け取ることができるようにしておきました。“Information Session” (学校説明会)開催のお知らせなどを受け取ることができ、後々便利でした。