大学院留学記 in New York

コロンビア大学の修士課程でメンタルヘルス・カウンセリングを学んでいます。

中間テストの準備をしながら気が付いたこと

 先週、中間テストを受けました。大学院レベルの、しかも米国でのテストは初めてです。どの程度準備すればいいのか見当がつかず、とにかく一生懸命に勉強しました。

 

 今回受けた科目は、Ethics(カウンセラーとしての職業倫理)、Career Counseling(職業関連の心理とカウンセリング)と Theory of Counseling(カウンセリング・心理学の学説)の3つです。たった3つだけだと簡単に考えていましたが、出題範囲が広く、また課題文献も膨大なため、テスト一週間前にはてんてこまいです。食事の時間が惜しいほどでした。

 

 今回テスト勉強に没頭して気がついたこと。まず学部生時代に比べて集中力がものすごくアップしているということ。何時間でも机に向かうことができて、食事を忘れるほどでした。受験生のときや学部生のときは、机に向かっていてもつい他のことを考えてしまって集中できないことや、とにかく眠くなって昼寝してしまう、ということが多々ありましたが、今回はそういうことがほとんどありませんでした。これほどの集中力がついた理由は、勤めた経験があるからではないかと思っています。学生の頃は静かな、落ち着いた環境で勉強することができますが、社会人になるとそんな落ち着いた環境が提供されることはほとんどありません。やらなきゃならない作業があっても、電話が鳴る、上司や先輩に他の仕事を頼まれる、後輩に質問される…といろいろなことが同時進行します。今回勉強をしながら、自分のやりたい作業を、自分のやりたいように、そして誰にも邪魔をされずに没頭できるってなんて幸せだろう!と感動してしまいました。よく若い頃の方が体力も記憶力もあるから勉強には適しているといわれますが、年齢を重ねることで得た経験はそれを補って余りあるように感じられました。

 

 そしてもう一つ気が付いたこと。どんなに勉強しても辛くなることがありませんでした。肩が凝ったり、目が疲れたりという身体的な“辛い”はありましたが、もう勉強したくないとか、やっててつまらない、と感じるようなことは皆無でした。私の通っていた東京大学では、1. 2年生の頃は教養学部に全員が配属され、文理問わず幅広く履修することが求められました。興味のない科目のテスト勉強ではもう本当にげんなりしていた記憶があります。そして3. 4年生では国際関係論を専攻して、それなりに興味はあったものの、テスト勉強となるとやっぱりどんより。そして勉強しながらふと、これをやって私の将来に何の意味があるだろう…と虚無感に襲われることもありました。しかし今回は、どんなに勉強してもワクワク感が消えることはありませんでした。それはやっぱり、本当にやりたいことを見つけられたからだと思います。どの科目も、将来私がカウンセラーになる上で役に立ちます。勉強をしているとき、未来のクライアントさんを思い浮かべるよう心がけていました。クライアントさんに質問されたらどんなふうに分かりやすく説明できるだろう…、こんなことがカウンセリング中に起きたらどう対応しよう…と具体的に想像しながら勉強すると、楽しい上に知識の定着も良いように感じました。

 

 テスト勉強で体は疲れましたし、夫を放置してしまって申し訳ない気持ちになりましたが、これほど楽しく勉強できることに気が付いて、とても幸せでした。自分のやりたいことに出会えるまで回り道してしまった私ですが、これほど幸せを感じられるのは回り道をしたおかげでもあります。今、何がやりたいのか分からなくて途方に暮れている人、毎日会社で仕事をしていても虚無感を感じている人に、そんな時期もきっと無駄にはならないとお伝えしたい気持ちです。