大学院留学記 in New York

コロンビア大学の修士課程でメンタルヘルス・カウンセリングを学んでいます。

学生生活に友達は欠かせない

 私の通っているMental Health Counseling (心理カウンセリング)修士課程にはあまり留学生がいません。留学生といっても、カナダや南アフリカ、インドなど、英語が公用語の国からの人、または高校や学部をすでに米国で過ごしていて、英語は堪能、文化的にもかなりアメリカナイズされている人が大半です。英語があまり上手くなく、所作に母国の面影が残る、いわゆる“留学生らしい留学生”は、主観ですが私しかいないような感じがします。

 

 入学して一ヶ月くらいはけっこう孤独でした。ニューヨークという土地柄なのか、クラスメイトたちは授業の後おしゃべりに興じたりすることなく、さっとどこかへ消えてしまいます。私は英語が流暢でないことも加わって、なかなかクラスメイトに話しかけることができませんでした。大学主催の親睦会に参加しても、会場にかかっている音楽がうるさくて、声の通りが悪い私はしゃべるのにも一苦労で途中退席。勉強大変だね、と声を掛け合う仲間なしに、膨大な課題に追われる毎日は正直さみしかったです。子供の頃は、大人になるとさみしいとか感じなくなるのかな、と思っていたけれど、大人になってもやっぱりさみしいものはさみしいですね。

 

 しかし10月に入ったあたりから、授業の合間にちょっとしたおしゃべりを楽しむ仲間ができました。アンジェラという台湾人の女の子です。彼女はシアトルで数年ファッションを学んだり、イギリスで美術関連の修士号を取得したりという多彩な経験の持ち主です。アンジェラの英語は私よりずっときれいですが、やっぱり言語の壁に悩むことがあるようで、私にとって言語の悩みを共有できる唯一のクラスメイトです。アンジェラとは話すテンポやリアクションなども似ているためか、とても打ち解けて話すことができます。

 

 アンジェラも私も、最初の一ヶ月半は授業についていくのにいっぱいいっぱいでした。課題の多いときなどは二人とも目の下にクマを作り、大丈夫?と互いに気遣い、いつかぱーっと遊びに行きたいねえ、と遠い目をしてつぶやく…そんな日々でしたが、中間テストを乗り越え、やっと二人で遊びに出かけることができました。

 

 私の友達は皆日本にいるため、考えてみればこうして友達と気軽に遊びに出かけるのはとても久しぶりです。一緒にミッドタウンのカツハマでトンカツ定食を食べた後、アンジェラに中華街を案内してもらいました。今まで何度も中華街に行ったことはありますが、どうも自分がよそ者に感じられて馴染むことができませんでした。けれどアンジェラにオススメのケーキ屋さんや中国茶カフェを案内してもらい、中国系スーパーでアンジェラお目当ての空芯菜を選んだりしているうちに、今までになく堂々と楽しんでいる自分に気が付きました。友だちの力は偉大です。

 

 大学においても同様に、友だちの力は偉大だと感じます。友だちができるまでは、自分の大学なのにどうも大学の一員になれていないような気がすることがありましたが、仲間が増えた今は自分の居場所だと自信がもてるようになりました。しみじみと学生生活が楽しいです。

 

 アンジェラとは、今度は台湾の火鍋を食べに行こうと次の約束もしています。楽しみでなりません。大人になっても、誰かと知り合って、親しくなっていくのは楽しいものですね。